帝王切開は事前の検査などから経腟分娩に適さないと判断されることにより実施されます。
緊急帝王切開の場合は通常分娩に上乗せする形になるので、負担額が大きくなることが多いです。
出産において、赤ちゃんやお母さんの体のことが一番大切で心配ですが、経済的な負担がかかり心配になる方も多いのではないでしょうか。
そして、出産にかかる費用は分娩施設や使用する薬剤・実施した処置によって大きく異なるため、具体的な費用計算を見かけることが少なく、参考資料が少ないように感じました。
今回は私の経験した予定帝王切開をもとに、出産において実際にかかった費用と返ってきたお金について紹介できたらと思います。
帝王切開でかかったお金
【保険適応】手術+検査+入院料+処置+病理・画像診断等
帝王切開は保険適応の医療行為に該当します。
そのため、手術自体や麻酔、注射、検査、処置、病理・画像診断、入院基本料等は保険適応となります。
ここでの検査は血液検査、尿検査、心電図など、妊婦が手術を受ける上での必要な検査を指します。
私の場合は3割負担で、99,610円でした。
【保険適応】食事
帝王切開のため、1食は治療食(食事療養費)として計算されていました。
その他の食事も保険適応とされていました。
正直、食事は保険適応外だと思っていたので意外でした。
(ボソッ)治療食は質素なわりに、通常の食事と単価が一緒で驚きました。
食事代は6日分(3食)+1食で7,360円でした。
【保険外】個室代+分娩介助料+新生児保育料+検査・薬剤+医療補償制度
- 個室代:5,000円×8日(入院当日〜退院日)=40,000円
- 分娩介助料:380,000円
- 新生児保育料:45,000円
- 検査:超音波検査、不規則抗体やコロナ抗原検査(夫の立ち合い用)等で10,970円
- 医療補償制度:12,000円
※医療補償制度は出産育児一時金として戻って来るので、実質負担はありません。 - 薬剤:ガスター(制吐剤)やアドナ(止血剤)、その他抗炎症薬や抗凝固薬も保険外として計算されていました。7,150円でした。
個室代+分娩介助料+新生児保育料+検査・薬剤+医療補償制度
=495,120円でした。
【保険外】帝王切開の傷跡に塗る創部保護ジェル(ケロコート)代
私の出産した産院では帝王切開のあと、48時間は創部にドレッシング剤を貼り、それ以降は創部を解放しました。
その代わり、創部を保護するジェルを塗布するように指示されました。
それが液体包帯「ケロコート」です。
1日2回創部に薄く塗布するだけでOK。
このケロコートは皮膚の水分レベルを最適に保ち、ケロイド(傷跡がもり上がり、痛みやかゆみの症状が出る)を予防するといったものです。
2022年2月時点での産院での購入で税込4,290円でした。
退院してから知ったのですが、こちらは一般医療機器でAmazonや楽天でも購入できます。
\ケロコートを探してみる/
個人的な話ですが、私はもともと皮膚が弱く、アトピー質だったのでケロイドにならないかが本当に心配でした。
だから、こんなジェルを塗布するだけでは頼りなく、もっとしっかりしたテープタイプのドレッシング剤などを貼付するべきじゃないのかなと疑っていました。
と(笑)
しかし、こちらを毎日塗布していたら傷跡がすごく綺麗になりました。
(傷の状態や肌質によるのかもしれませんが)
なくなったら追加購入しようかなと思っています。
【保険外】PCR検査費用
妊娠中は肺炎にかかった場合に重症化する可能性があることや、分娩時の新型コロナウイルスの感染拡大のリスクが高いとされる3密の状態が発生しやすいことから妊婦のPCR検査を推奨されています。
2022年2月当時はPCR検査費用が20,000円で、なかなかの高額でした。
【保険外】新生児検査費
新生児のビリルビン検査、いわゆる黄疸の検査は保険外のようです。
あと、保険外の脳ドック(超音波検査)や先天性代謝異常検査等を行いました。
こちらの合計額が12,000円でした。
帝王切開出産の入院費用合計額まとめ
内訳をまとめると、以下の通りになります。
内訳
- 保険適応(手術+検査+入院料+処置+病理・画像診断等)=99,610円
- 保険適応(食事)=7,360円
- 保険外負担(個室代+分娩介助料+新生児保育料+検査・薬剤+医療補償制度)=495,120円
- 保険外負担(PCR検査+創部保護剤+新生児検査費)=36,290円
医療費3割負担で合計638,380円でした。
※ちなみに、後述の出産育児一時金(420,000円)の直接支払い制度と、出産前に病院に預けていた入院保障金200,000円があったので、退院日に病院の窓口で支払ったお金は18,380円でした。
出産をして戻ってきたお金
出産育児一時金
出産育児一時金制度とは、健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、出産 に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。
支給額は42万円とします。
※ 在胎週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度加算対象出産ではない場合は39万円
引用:厚生労働省ホームページ
つまり、妊娠4ヶ月以降の出産で産科医療保障制度対象の出産の場合は42万円支給されます。
この42万円の支給方法としては、直接支払い制度と受取代理制度で分娩施設に直接支給する方法と加入している健康保険組合などへ直接請求して支給を受ける方法があります。
直接支払い制度の仕組みや準備についてはこちらの記事を参考にしてください。
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分娩施設によって出産にかかる費用は多少異なってきますが、42万円を超える場合が多いので、直接支払い制度もしくは受取代理制度を導入している施設であれば、これらの制度を活用した方が手続きや支払い的に楽だと思います。
分娩施設によって導入している制度が異なるので、問い合わせしてみるの良いと思います。
私の出産した施設では、直接支払い制度を導入していたので活用し、退院時の会計から42万円を事前に差し引いてもらうことができました。
高額療養費と附加給付費
帝王切開は医療行為となるため、手術と治療にかかった費用が高額療養費制度の対象になります。
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」(こうがくりょうようひせいど)があります。
引用:厚生労働省ホームページ
医療費の上限額は年齢や所得によって異なります。
ですが、出産される方は69歳以下だと思うので所得だけに注意して確認をすれば良いと思われます。
出典:厚生労働省ホームページ
例えば、20代で年収約500万円だとすると上図の(ウ)に該当します。
80,100円+(医療費ー267,000)×1%=上限額となるため、この上限額を超えた額が支給されるというわけですね。
ひと月にかかった世帯の医療費の算出になるため、帝王切開以外の医療費も加味される分、個人差が出るので計算してみてくださいね。
私は適用区分(ウ)に該当し、18,862円が支給されました。
高額療養費をどのように申請すればよいか、どのように支給されるかについてまとめたのでこちらの記事も参考にしてみてください。
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また、高額療養費の他に出産附加金が20,000円、その他の保険給付(入院時食事療養費・出産費等)で55,700円支給されました。
保険からの補償金(給付金)
加入している生命保険等によっては、帝王切開が補償に該当する場合があります。
私自身そうだったのですが、配布されているパンフレットなどに帝王切開が載っていない場合でも、適応してもらえる場合があるので直接問い合わせてみるのが良いかと思います。
私の加入していた保険では入院費と手術費が該当していました。
私の場合は出産翌月に164,000円振り込まれていました。
家族が増えると考えたい保険。
PCR検査助成金
妊娠中は肺炎にかかった場合に重症化する可能性があることや、分娩時の新型コロナウイルスの感染拡大のリスクが高いとされる3密の状態が発生しやすいことから妊婦のPCR検査を推奨されています。
自治体によっては、妊婦の方や生まれてくる子どもの安心・安全、更には産科の医療体制を守るため妊娠中に実施されたPCR検査の費用が助成される場合があります。
2022年2月当時はPCR検査費用が¥20,000円で、なかなかの高額でした。
こちらの自己負担額(上限2万円まで)は検査費用助成事業によって支払われ、後日自分で指定した口座に振り込まれる仕組みです。
このPCR検査助成金の申請については、入院前、PCR検査を受けるときに産院より申請用紙と申請方法の説明がありました。
私の場合は申請から約1ヶ月後に20,000円が振り込まれていました。
出産見舞金
出産見舞金は加入している組合により給付されました。
職場によってはあったりなかったりするようです。
私の場合は約3ヶ月たった頃に30,000円が振り込まれていました。
予定帝王切開出産による入院費の最終実費負担額
638,380円(入院費用合計額)− 728,562円(出産をして戻ってきた合計金額)
=−90,182円
つまり、戻ってきたお金の方が多かったので+90,182円となりました。
もちろん、高額療法費は出産入院だけではなく直前の検診や産後の受診にかかった医療費も含まれるため、単純に上記の額が戻っててきたわけではありません。
しかし実質負担金が0円、むしろプラスになるとは
おわりに
いかがでしたでしょうか?
帝王切開出産にかかった費用をご紹介しました。
戻る費用に関して、産後職場復帰予定の方は今回の紹介したものに加えて、然るべき手続きを踏めば出産手当金や育児休業給付金がもらえるので、家計は非常に助かります。
また、医療費控除を受けられる可能性があるので領収書は保管しておきましょう。
出産費用は個人差が大きく、具体的な費用が公開されていない分、私自身出産を控えている時に心配になることもありました。
出産費用の一例として参考にしていただけたらと思います。
今回の記事でこれから帝王切開での出産に臨まれる方のお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。